金魚に限らず観賞魚を飼っていると水質の問題に直面し、中でも多いのが水面で細かく泡立つ現象と白濁りです。

最初に水を入れたときは綺麗な透明だったのに、時間がたつにつれだんだんと泡が出たり白濁りが出ます。

これは水槽の立ち上げ(セット)直後はほぼ必ず起こる現象です。

もちろん泡立ちや白く濁るのをそのまま放置して良いわけではありませんので、ここではその原因と解消方法、対策をお伝えします。

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泡立つ・白濁りの原因

泡立ちと白濁り、現象は少し異なりますが発生原因はほとんど同じです。

泡立ち

水槽 泡立つ

泡立ってしまうのは水中にタンパク質が多く存在してしまっていることが原因です。

金魚の身体はヌルッとした粘膜(ムコプロテイン・糖たんぱく質)が張られており、この粘膜があることで水中の菌や寄生虫から身を守っています。

この粘膜はヒトの肌と同じように代謝によって常に生み出されており、古くなったものは剥がれて水中へ消えていきます。

菌が分泌するエンドペプチダーゼやエキソペプチターゼというタンパク質分解酵素が、剥がれた粘膜を濾アンモニア等へと変換されます。

もちろん粘膜だけがそれらに変換されるのではなく、餌の食べ残しやフンも同じ過程を踏みます。

タンパク質は変換されますが、餌のやりすぎや過密飼育によって量が増えすぎるとそれらの変換が追い付かない状態になります。

そうして水中で変換されなかったタンパク質が多くできてしまい、粘性をもつ水になり泡が発現します(例えば麺類を湯がいた時に白い泡が多く発生しますが、これも糖類やタンパク質や多く存在するゆえのことです。)。

つまり水中のタンパク質分解がうまく機能しなくなることで泡立ちが起こるのです。

白濁り

白濁り 水槽

白濁りの原因は主に濾過バクテリアの死骸です。

金魚を入れている水槽内には濾過バクテリアという、水質を安定させてくれるバクテリアが存在しています。

酵素によるタンパク質の分解や金魚の糞からアンモニアが発生し、これは有害なので濾過バクテリアが分解してくれます。

この分解時に力を使い果たしたバクテリアは死滅します。

アンモニアが分解されると亜硝酸塩が発生しますが、この亜硝酸塩も(アンモニアほどではないですが)有毒なのでまた別の濾過バクテリアが分解し硝酸塩になります。

この時にも一部のバクテリアが死滅します。

このように濾過(アンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩)の過程で死滅するバクテリアの死骸が白濁りの原因となるのです。

濾過バクテリアの働きなど詳しくは以下の記事でまとめています。

濾過バクテリアの種類と増やし方・作り方について

バクテリア以外の原因

白濁りが発生する原因はバクテリアの死骸だけではありません。

  • 底砂

底砂を入れる方は多いと思いますが、これを入れる前に十分に水ですすいてからでないと底砂にもともとついていた汚れが水中に舞います。

これによってバクテリア死骸による白濁りのようになることがあります。

対策としては底砂を入れる前にはしっかりと水で洗い、濁りを落としておくことです。

の残りかすによっても水が汚れることがあります。

この場合は残りかすが原因で水質に影響が出て、結果的にバクテリアの死滅を引き起こし白濁りがひどくなることもあります。

白濁りを起こさないためにも餌は1回で食べきれる量を与えましょう。

悪いことではない

水中のタンパク質やバクテリアの死骸が多い状態ですが、決して悪いものではなく「立ち上げ中の状態」です。

どんなに立ち上げがうまい飼手でも起こり得ることです。

そして、この濁りや泡立ちが直ちに魚に悪影響を及ぼすわけではありません。

例えば今回撮影した白濁り・泡立ちが出ている水槽のアンモニア濃度と亜硝酸濃度を検査してみたところ以下のような結果が出ました。

白濁り 泡立つ アンモニア 亜硝酸

左がアンモニア検査の結果、右が硝酸塩の結果です。

亜硝酸の方の結果用紙を紛失してしまいましたが、どちらも水質に問題ないレベルです(亜硝酸濃度は高いと試験液が赤色になる)。

もちろん白濁りや泡立ちは解消した方が良いですが、その状態が直ちに病気につながるわけではないのです。

テトラテスト
  • テトラテストでは水槽内の水質チェックが簡単にできます
  • 水槽立ち上げが不安な人や、改めて確認してみたい人は一度試してみるといいと思います
  • 価格は1000円ほどです
  • 水質が分かれば対策が取りやすいので是非試してみてください

解消方法

泡立ち・白濁りに有効なのは水替えです。

どちらの場合も水槽の立ち上げ直後はよく起こる現象で、立ち上げ完了までは何度か発生すると考えておきましょう。

ただし、水質が完全に悪いわけではなくまだ機能している酵素やバクテリアもたくさんいるので水の全替えはしないよう注意してください。

水槽の大きさに対して金魚の数が多めで餌もよく与えている環境ならば、3日に1回半分の水替えを続けてみましょう。

水の汚れが早い場合は、濾過バクテリアが定着するまでには3か月近くかかることもあります。

すぐには解消しないことも頭に入れながら気長に続けてください。

放置で解消することも

水替えなしでも白濁りや泡立ちが納まることがあります。

それは水槽に対して個体の数が少なく、餌もほとんどあげないような状況です。

餌を与えないということは残りカスや糞の発生が少なく、酵素やバクテリアが増えやすい環境になります。

この場合立ち上がりも早くなり、水中で酵素・バクテリア優位の状態になりますので水替えなしの放置でも解消することがあります。

こんな対策法も

白濁りや泡立ちを発生させないためには水替えによる立ち上げ完了が一番ですが、その他のお役立ちアイテムを使用することでも抑えられます。

ただし必ず解消できるわけではなく、以下のどれを使用しても変化がないこともあります。

  • 活性炭
  • 繁殖ろ材
  • 添加剤

活性炭は日用品でもよく使用されているように、特定の物質を吸着するために加工された炭(炭素)です。

濁りだけでなく匂いの原因物質(アンモニアや硫化水素)も除去するため、常に水を綺麗で衛生的に保ちたい場合に効果的です。

最も人気なのはキョーリンのブラックホールで、これをフィルター内部に設置するだけで浄化が行われます。

キョーリン ブラックホール(活性炭)
  • 濁りを取り除いて透明度を上げてくれます
  • 活性炭系の商品の中だと、これが特に人気だと思います
  • 臭いの原因物質を取り除いてくれるので、水槽の臭いが気になる人は買っておくと良いと思います
  • 価格は800円くらいです



繁殖ろ材とは濾過バクテリアが定着しやすい形に製造されたボール状・リング状の物で、主に石やスポンジ等で作られています。

バクテリアが早く繁殖ろ材は定着することで、白濁りの対策になります。

繁殖ろ材は特にこれといったものはなく、どれを使っても同じです。

  • ろ材はどれをとってもあまり差はないので、安価なやつで大丈夫です
  • 寿工芸のろ材を使っている人が多いような印象です



添加剤は一部の濾過バクテリアが液体に添加されており、これを水槽に投与することでバクテリアが繁殖・機能して立ち上げに対応するというものです。

アクセサリに頼り過ぎない方法を

白濁りや泡立ちの対策方法で紹介しておいてなんですが、正直なところバクテリア添加剤に関してはあまり有効とは思いません。

活性炭や繁殖ろ材はある程度濁りの解消やバクテリアの繁殖に役立ちます(特にろ材はベアタンク飼育で活躍します)。

一方で濾過バクテリアはその環境に必要になった場合に必要な分だけ繁殖するため、添加剤で増やそうとしたところで余分なバクテリアが入ることになり、これが死骸になって余計に白濁りを強めます。

水槽立ち上げ開始直後でも水中にタンパク質やアンモニアが発生する限りバクテリアは自然に繁殖するので、わざわざ添加剤を利用する意味はありません。

なので添加剤は頼れるものではなくお守り程度に考えておいた方が良いと思います。

過去にものすごい匂いがするものや、掃除・水替えの手間が減る(らしい)添加剤を使ったのですが、目に見える効果はなかったです。

活性炭や繁殖ろ材に関しても、立ち上げが完了すれば不要になってしまうので無理に入れる必要はないです。

結局水替えが一番

アクセサリに頼って白濁りや泡立ちを解消するよりかは、水替えをしっかりと行うべきです。

白濁り・泡立ちを解消する方法としては水替えが一番確実な方法です。

当方では基本的に以下の手順で対応しています。

餌は1日に3回ほど与えています。

  • 立ち上げ開始後2週間:3日に1回半分水替え
  • 3・4週目:3日に1回、3分の1水替え
  • 2か月目:週1回、3分の1水替え
  • 3か月目:週1回、3分の1水替え

あくまでも目安で、場合によって臨機応変に対応します。

餌をあげている環境ですので立ち上げ後2週間以内に白濁りや泡立ちが発生し、3・4週目で徐々に納まってきます。

2か月目は濁りや泡が落ち着いてもアンモニア・亜硝酸の検査をしながら水替えの頻度・量を決めます。

3か月目も水質検査をし、連続して安全値を指すようになったら立ち上げ完了とします。

活性炭や繁殖ろ材、添加剤を入れてもこの手順は避けては通れないので、面倒くさがらず水替えで対応していきましょう。

泡立ち・白濁りのまとめ

水槽の泡立ちは水中で分解しきれなかったタンパク質が増えたために起こるもので、餌のやりすぎや過密飼育が影響します。

一方白濁りは濾過バクテリアの死骸が原因で、その他に餌の残りカスや底砂の汚れなども要因となります。

どちらのケースも水替えによって解消が可能で、餌の量や個体の数によっては放置していても解消されます。

添加剤により濾過バクテリアの繁殖を促し汚れを解消するものもありますが、基本は水替えによる自然な定着を目指しましょう。



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