そもそもブクブクが必要な理由は?
金魚飼育でよく目にするブクブクはなぜ必要なのでしょうか。
答えはブクブクによって出来る水流を利用して水面で溶け込んだ酸素を水槽の底まで届ける(循環させる)ためです。
この他にも濾過バクテリア、物理濾過のためなどいくつか理由を挙げられますが、ブクブクの一番の機能としては上記の答えです。
ブクブクがない水槽では
ブクブクに限らず水槽内を循環させるものがない状況では、以下の図のように水面でしか酸素が溶け込んでいません。
水面以外ではほとんど酸素が溶け込んでおらず、金魚が生きていける環境ではありません。
水中の酸素が足りていない水槽において、金魚が水面でパクパクするのは溶存酸素量(水に溶け込んでいる酸素の量)が多いところ(水面)で酸素を得るためです。
魚の飼育が初めての方はパクパクしている様子を『餌を欲しがっている』と思いがちで、勘違いしたまま酸素の供給を怠ると★になります。
もちろんこの状態の時に餌を与えても食べません。
ブクブクがある水槽では
一方、ブクブクがあると噴き出す泡によって水流が発生します。
さらに表面ではじけた泡で水面が揺れ、酸素がより良く溶け込みます。
水流により水面で溶け込んだ酸素が水槽全体に行きわたり、魚は底でも問題なく呼吸ができます。
要は水流があれば水の循環で水槽内に酸素が届けられるので、ブクブク以外にもフィルター(濾過器)があれば問題ありません。
ブクブクなしで飼う方法
水槽に入れる水の水位が高いと、ブクブクを利用して水面の酸素が底まで届けないといけません。
逆に浅いと水面で溶け込んだ酸素がそこまで届きやすくなるので、ブクブクなしで飼うならば水深を低くする(浅くする)と良いです。
ただし最低限確保すべき水位があり、魚が胸びれと背びれを伸ばした時の高さよりも少し高いくらい水深は必要です。
水深が低い水槽では金魚が泳ぐことで水がやや循環し、水面で溶け込んだ酸素が届きます。
もちろん水深が浅いので活発に泳がなくとも酸素の確保はできています。
実例はこんな感じです。
例のために用意した水槽なので非常に狭いです。
実際にこの方法で飼育するならば広さは確保してあげましょう。
停電時や金魚鉢でも応用可能
この方法ならば電気も道具も一切使用しないので停電時に有効です。
電池式のエアレーションやエアポンプもありますが、ブリーダーや本格的な愛好家でなければ準備している方は少ないと思います。
万が一停電した場合は水槽の水を減らして水深を浅くして対応しましょう。
また金魚鉢でも有効です。
金魚鉢で飼育する方は見栄えを重視することがあり、ブクブクなど入れずに飼いたいケースがあります。
そんな場合も水深を低くすれば溶存酸素量が確保できるので、この方法で飼育しましょう。
注意点
一見便利なブクブクなしの飼育では、以下のことに注意しましょう。
- 水が汚れやすい
- 餌は与えない方が良い
- 装飾品は不要
水が汚れやすい
水深が低いと通常よりも水量が少ないので水が汚れやすくなります。
ブクブクやフィルターが使われているのは、それらが酸素供給以外にも濾過としての機能を持つからです。
糞や餌の食べ残しを吸い取る物理濾過や、濾過バクテリアの定着機能などを持ち水を綺麗に保ちます。
ブクブク・フィルターなしで飼育するということは、これらの働きがなくなるということです。
そのため自分の手でその働きをする必要があり、具体的には水替えによって糞やゴミを除去します。
餌は与えない方が良い
上記の通り濾過機能がない環境では水質が悪化しやすいので餌は与えない方が良いでしょう。
ブクブク、フィルターがない環境で餌をあげると(水槽の広さにもよりますが)おそらく1~2日でかなり汚くなります。
水質悪化は病気のもとで、金魚が★になってしまう大きな原因ですので気を付けなければなりません。
もしもブクブク・フィルターなしの状態で餌をあげたいなら、ほぼ毎日半分水替えを行う必要があるでしょう。
装飾品は不要
水深がある環境ならば魚が泳げるスペースは広いので装飾品を入れても問題ありません。
しかし浅い環境では動けるスペースが限られているので装飾品は邪魔になります。
敷石はあっても構いませんが水草や石ころは不要です。
見た目よりも金魚が動ける広さを確保することを優先しましょう。
ただし、ブクブク無しはおすすめしない
ブクブク無しでの飼い方をお教えしておいてなんですが、理由がない限りブクブク無しの飼育はおすすめしません。
決してできなくはないのですが、経験豊富(水質、病気、濾過バクテリアの状態の判断などが出来る)な方でないと難しいでしょう。
おすすめしない一番の理由は水質悪化で金魚が病気になる可能性が高いからです。
金魚飼育で餌をあげられないのも非常に寂しいですし、毎日水替えするにしても温度調整など細かな部分にも気を遣わなければ個体にダメージを与えてしまいます。
魚は本来水が循環する環境で生きる生物ですので、水槽でもその環境に近い形にしてあげるのが一番です。
ブクブクないよりもある方が絶対に良い(濾過フィルターのみでもOK)ので、なるべく取り付けておきましょう。