金魚が餌を食べてフンを出す限り水槽の水替えは必要です。
フンにはアンモニアやそれが分解されて発生する亜硝酸塩は魚にとって有害物質です。
個体が病気になってしまうのは、ほとんどの場合そのような物質の濃度が高まったことが原因です。
それを防ぐためにも適切な頻度や方法で水替えを行い、金魚が健康でいられる環境づくりをすることが大切です。
環境により頻度は異なる
水替えの頻度は
- 水槽の大きさと魚の数
- 季節(水温)
- エサの回数
- フィルターの有無
によって異なります。
つまり何日に1回は水替えをするという決まりはなく、飼っている環境によってその頻度は異なるのです。
最短では2~3日に1回、一方で水替えが不要になる事もあります。
これらの要素をすべて考慮したうえで、後ほど「水替え頻度はどのくらいが適切か」を見てみたいと思います。
水槽の大きさと魚の数
水槽の大きさに対して金魚の数が多ければその分水もも汚れやすくなり、少なければ汚れにくくなります。
そして個体の大きさも影響します。
以下は水槽の大きさに対して何匹までOKかを個体の大きさごとに示した表です(水槽の大きさは標準規格)。
水槽サイズ\個体サイズ | 4cm以下 | 8cm以下 | 8cm以上 |
---|---|---|---|
20cm(約7L) | 2匹まで | 1匹 | × |
45cm(約37L) | 5匹まで | 4匹まで | 2匹まで |
60cm(約57L) | 8匹まで | 6匹まで | 3匹まで |
90cm(約157L) | 20匹まで | 15匹まで | 7匹まで |
個体の数が表の数字を大きく下回るなら水替えの頻度は少なくて済みます。
金魚の数がこれ以上ならば過密状態です。
あくまでも目安ですが、水槽内に記した数字以上の個体がいる場合は水替えの頻度が多くなる可能性があります。
季節(水温)
水替えの頻度は季節的な要因も考えなければなりません。
水替えに関係するものとして温度があります。
金魚の活性消化機能は水温により変化し、温度が高いほど活発で低いほど不活性化します。
つまり夏は活発になり餌もよく食べ、フンが多くなり水が汚れやすくなります。
また金魚だけでなく水中の原生動物や細菌も活発になり病気の発症に関係します。
一方で水温が10度を下回ると動きも鈍くなりほとんど餌を食べないのでフンをあまり出さず、水が汚れにくいです。
単純に季節だけを考えれば夏は水が汚れやすいので水替えの頻度が多くなり、冬は汚れないので水替え頻度は減ります。
エサの回数
例えば金魚を巨大化させるために通常よりも多くエサをあげる状況ならば水は非常に早く汚れます。
先ほど挙げたように夏場は食欲も旺盛になり消化機能が高まりフンがよく出ます。
巨大化させるつもりはなくてもエサを食べる姿がかわいいので多めにあげてしまうこともあるでしょう。
金魚の数、季節、フィルターの有無など水が汚れる理由はいくつかありますが、一番の原因はエサの回数なのです。
なので、もしも水替え頻度が多くて困っている方は一度エサの回数を見直してはいかがでしょうか。
フィルターの有無
フィルターはフンやエサの食べ残しなどを物理的に掃除してくれるもので、これがあることで水槽内を綺麗に保つことができます。
一方でフィルターがないとそれらが水槽内に残ったままの状態になり水質悪化につながります。
全てのごみを吸収するわけではありませんが、ない状態に比べて水質を保てるので水替えの頻度が減ります。
ただし、時間の経過によりフィルター内が汚れますので、この状態で稼働し続けてもあまり意味がありません。
フィルターは内部のゴミ受けやマットにヘドロのようなものがたまり、目に見えて汚れがわかる程度になったら掃除しましょう。
水替えの頻度まとめ
ここまで見た飼育環境(水槽の大きさと魚の数、季節、エサの回数、フィルターの有無)を考慮し、適切な水替えの頻度を表でまとめてみました。
環境\水替え頻度 | 少ない | 普通 | 多い |
---|---|---|---|
水槽サイズと魚数 | 適正 | 適正 | 過密 |
季節(水温) | 1年中 | 夏(25度以上) | 春・夏・秋 |
エサの回数 | 1週間に3回以下 | 1日1回 | 1日3回以上 |
フィルターの有無 | 有り | 有り | 有り・無し |
- 少ない:1か月以上に1回でOK
- 普通:2週間に1回程度
- 多い:3日に1回以上
飼育環境は様々ですが、水替え頻度に大きく関係するのは「水槽サイズと魚数が適正かどうか」と「エサの回数」です。
これらが適正かどうか、エサやりが多い少ないかで水が汚れるスピードが変わり、水替えの回数も異なります。
フィルターや季節(水温)はあまり大きな要因ではありませんので、まずは挙げた2つで頻度を判断してください。
水替えの量
水替えと一言にいってもその量は時と場合によって違い、さらには方法も異なります。
- 3割替え:ゴミ除去と水替え
- 半分替え:ゴミ除去と水替え
- 8割替え:ゴミ除去と水替え(とガラス掃除)
- 全替え:水、フィルターなど全替え&消毒
例えば、金魚は元気で健康なものの床(敷石)がフンや食べ残しで汚れている時はゴミ除去と水替えのみで終わらせます。
水替えの量は3割~半分程度で十分です。
もちろん8割以上の水替えを行っても問題ありません。
一方、金魚に病気が出たなどの理由で水替えを行う際はゴミの除去と水槽の内面ガラスの掃除、さらに水替えをして水質の改善を行います。
病気が初期症状ならば8割替えをします。
他の金魚にも同じ病気が出ているようならばフィルターの掃除・消毒を含めた水の全替えを行います。
つまり
- 濁りや匂いが理由で水替えするなら3割~半分の量でOK
- 病気が理由の水替えは8割~すべての量を水替え
ということになります。
水替えの方法
水槽の水替えはそれなりに手間がかかりますが、綺麗になった水槽を眺めるのは癒しになります。
慣れないうちは手順がつかめず難しいかもしれませんが、金魚に長生きしてもらうためには必須の作業です。
写真付き実例
今回は水の8割替えを例に、水替えの方法をお教えします。
- 予め本水槽の水温を把握しておく
- フィルターを止める
- 敷石以外の全てを取り出す
- 金魚を移す
- 底にあるゴミを浮かせる
- 水を約8割排出する
- カルキ抜き・水温合わせをする
- 小物を入れる
- 水を入れる
- 金魚を入れる
1.予め本水槽の水温を把握しておく
水替え前に本水槽の温度を計っておく理由は、新しい水も同じ温度にして入れなければならないからです。
金魚にとって急な水質・水温変化は大きなストレスになりますので、できるだけこれを軽減するために温度を把握しておきます。
吸盤式の水槽用温度計が数百円であるので、一つ持っておくと良いでしょう。
12℃ですので、新しい水はこの温度±1℃で調整しておきましょう。
2.フィルターを止める
水替え中は水位が低くなりフィルターのモーターが空回りしてしまうので止めておきます。
3.敷石以外の全てを取り出す
敷石以外の物(エアレーション、水草、小物、流木など)を水槽から取り出します。
なぜなら敷石とエアレーションや小物などの隙間に汚れが多く溜まっているからです。
あとで敷石内にたまったゴミの除去をする際にも、小物等がない方が掃除しやすいです。
エアレーションは掃除の邪魔にならなければ置いたままでも構いません。
うちはエアレーションは入れたままで、その他は水草しか入れていません。
4.金魚を移す
(作業中にバケツに移した時の写真を撮るのを忘れてしまい、この写真のみ別の時のものです。)
金魚をバケツなどに移します。
その際の水は水槽で使用していたものをそのまま使ってOKです。
一時的とはいえ、バケツ内にエアレーションをかけておきましょう。
5.底にあるゴミを浮かせる
掃除をしてみるとわかりますが、水がきれいでも床はかなりカスが溜まっています。
カスだけでなく病気のもとになる原生動物や菌もここに潜んでいますので、ゴミの除去に注力しましょう。
どのような形でも良いので敷石にたまっているゴミを浮かせます。
水槽の底からかき混ぜるようにしっかりと浮かしましょう。
6.水を約8割排出する
底に溜まっていたゴミが水中に漂っている状態で水を除去していきます。
給水ポンプを使って排水するのが一般的です。
目に見えるごみはなるべく吸い上げていきましょう。
7.カルキ抜き・水温合わせをしておく
先ほど計った12℃の±1℃以内で調整しました。
新しい水のカルキ抜きや温度合わせはこの順番では、もっと前の段階で済ませておいても構いません。
新しい水を用意してカルキ抜きを行い、温度合わせもします。
金魚にとっては汚い水が綺麗な水になることも環境の変化なので一時的な負担になります。
水質が変わることは仕方ないので、温度を合わせることでその負担をなるべく軽減してあげましょう。
8.小物を入れる
取り出していたエアレーションや水草、小物などを入れます。
なお、金魚に病気が発生した理由による水替えでないならばエアレーションなどは洗っておく必要はありません。
病気が理由による水替えの場合、それらをお湯消毒した後に水槽に戻します。
9.水を入れる
カルキ抜き・温度合わせをしておいた新水を入れます。
ちなみにうちでは2階の部屋に水槽を置いているので水中ポンプを使って水入れをしています。
ポンプのおかげで重い水を持って上がる必要がないので簡単です。
10.金魚を入れる
別の水槽やバケツに移していた金魚を水替えした本水槽に入れます。
この際にバケツで使用していた水が水槽に入るくらいは構いません。
しかし病気が理由の水替えならばあまり多くは入れない方が良いでしょう。
最後にフィルターを稼働させて、水替え完了です。
水替え頻度や方法・量まとめ
水替えの頻度は水槽の大きさと魚の数、季節(水温)、エサの回数、フィルターの有無などにより異なります。
個体の数とエサやりが水の汚れに大きく関係するので、魚の数が多くてエサの回数も多い場合は3日に1回以上の水替えをします。
一方、水槽サイズに対して数が少なくエサやりが少なければ1ヶ月以上に1回で十分です。
替えるの量としては濁りや匂いが気になる場合は3割から半分を、病気が理由の場合は8割から全替えをおすすめします。
水替えの方法で一番重要なのは水の温度合わせで、金魚にとって大きな負担にならない方法で綺麗な水にしてあげましょう。