白雲病の症状

白雲病 イクチオボド
白雲病 初期~中期

白雲病はその名の通り魚の身体に雲がかかったように白いモヤモヤが発生する症状が出ます。

超初期症状は金魚がかゆがっているように体を底砂や壁にこすりつける行為が起こりましす。

その後3日程度で初期症状となり部分的に白い粒(粘液の固まり)のようなものが発生し、見た目的には白点病やツリガネムシ病に大変よく似ています。

中期の症状では初期にできた白い粒の周りに白い膜がかかり、雲が身体を覆っているように広がります。

この頃になってくると食欲が低下したり、泳ぎがゆったり・底や水面でじっとしている状態になります。

末期には全身に広がりウロコが見えなくなるほど粘膜の異常分泌が起こり、餌を食べずかなり弱ります。

粘膜の固まりがエラに付近に出ると呼吸の障害になり衰弱して★になります。

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白点病やツリガネムシ病との違い

初期・中期症状は白点病やツリガネムシ病に酷似しており間違えやすいです。

症状の見極め方として、白雲病には以下の特徴があるので参考にしてください。

  • 身体に異変がないのに擦り付けがあった
  • その数日で白い粒が出てきた
  • 主に身体に発生し粒の形が不規則
  • 白い塊に凸状の盛り上がりがある

これらの特徴を基に白点病、ツリガネムシ病と比較してみます。

点々
白点病

白点病は白い丸状の小さな点(0.5~1mm)が発生し、どの点もほとんど同じ大きさであることが特徴です。

ツリガネムシ病 白い点 尾びれ エピスティリス症
ツリガネムシ病

ツリガネムシ病も白い丸状ではありますが、白点病に比べてやや大きめの丸であり盛り上がり方も大きいです。

白雲病 イクチオボド
白雲病
白雲病 粘膜 固まり
半球の形ではなく、膨らみ方も不規則

白雲病も粒が出ますが白点病やツリガネムシのように規則正しい半球の膨らみではなく、不規則な形の白い粒ができるのが特徴です。

白い点が並んでいるというよりは、白い固まりが一部でデコボコとしている感じです。

「粒」よりも「カスのような付着物」と言う方が合っているかもしれません。

白雲病 白い固まり 拡大画像
白雲病患部の拡大画像

このような比較をもってしても見分け方が難しいですが、少しでも参考になればと思います。

発生原因

白雲病の原因は鞭毛虫のコスティア(イクチオボド)や繊毛虫のキロドネラが寄生することです。

コスティア(イクチオボド)は0.01mmほどの大きさなので肉眼で確認することは不可能で、顕微鏡を用いても見にくいため症状で白雲病と判断するしかありません。

活動できる温度は3~30℃と広く25度前後で最も活発になるものの、28℃以上の高温水では増殖がやや弱まる傾向にあるようです。

水替え時や季節による温度の急変(特に温度低下)により個体の体調不良が起こり、コスティアの寄生しやすくなります。

一方のキロドネラは0.05~0.09mmほどで、目では確認できないですが顕微鏡を用いると楕円形の形をしているのがわかります。

こちらも活動温度は広いですが20℃以下でよく活動し、10℃以下になると非常に活発になり分裂での増殖を繰り返します(逆に28℃以上では活動が弱まる)。

こちらもコスティア同様に温度の急変により生体の体調が崩れた時に寄生しやすくなります。

低温時や体調不良時

どちらの寄生虫による白雲病であっても発生原因は急な温度の低下や体調不良であることがほとんどです。

経験上ショップで購入した個体を水槽に投入した後に発症することが多いため、移動や環境変化によるストレスで弱り発症するように思います。

コスティア、キロドネラが活発になる低水温の季節は温度合わせやメチレンブルーでのトリートメントを行うことが一番の予防策です。

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  • スレ傷の治療にも使用できます
  • 毒性が低いので使いやすいです
  • 水温が下がる季節に予防として使用しても良いと思います
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併発も多い

白雲病はこれ単体で起こることもありますが、ギロダクチルス病やトリコディナ病、水カビ病などと併発することもあります。

併発の場合、薬浴により白雲病の症状が治まっても擦り付け行為や白い粒やモヤモヤの再発が起こり得ます。

こういったケースでは有効な薬が異なるため、症状が治るごとに次の治療に移るのが適切です。

有効な薬

コスティア、キロドネラいずれの場合も薬で治療可能です。

アグテン(マラカイトグリーン)
フレッシュリーフ(マラカイトグリーン)
ヒコサンZ(マラカイトグリーン)
メチレンブルー
グリーンFリキッド(メチレンブルー)

実はコスティアやキロドネラに有効な薬はホルマリンと過マンガン酸カリウムを除いてはっきりとわかっていないのですが、メチレンブルーやマラカイトグリーンなどの色素剤での完治報告が多数ありますので上記の薬が有効です。

末期の症状の場合は色素剤系の薬で効かないことがあり、その際はトリクロルホンを含有している薬で対応します。

リフィッシュ
トロピカルゴールド
トロピカル-N

トリクロルホンはホルマリンほどではありませんが、こちらも強い薬ですので必ず適量で行いましょう。

塩浴の有効性

コスティアに関しては塩浴での駆除効果が確認されていますが、濃度5%という濃い塩水を用いる必要があります。

さけ・ます資源管理センターニュースで2003年8月に発行された「さけ・ます類に外部寄生する原虫類の病理と対策(浦和茂彦氏)」によると、濃度5%塩浴を10分行った時のコスティアの生存率は0%ということで、塩による駆除の有効性が示されています。

しかし5%食塩水は非常に濃く、実験に用いたサケ雑魚の死亡率は10分塩浴で約20%、15分では約90%とリスクの高さがわかります。

参考 → さけ・ます類に外部寄生する原虫類の病理と対策

このように濃度5%の塩浴ならばそれだけで駆除できますが、0.5%の塩浴ではどれほど効果があるのか不明です。

人により様々

コスティアやキロドネラの治療に用いられる薬は、実のところ人により様々です。

色素剤を使用する方が多い一方で、オキソリン酸(観パラD、グリーンFゴールドリキッド)やフラン剤・サルファ剤(エルバージュエース、グリーンFゴールド顆粒)を用いる方もいます。

個人的にはオキソリン酸やフラン剤・サルファ剤は細菌感染症用の薬なので効果がないように思いますが、中にはこれで治療する方もいるようです(水カビ病などの併発を治療・防止する意味で使用?)。

原因が寄生虫である以上は色素剤か駆除剤が有効であるものの、白雲病では薬や治療方法にこれといった正解はないようです。

もしも治療の薬で迷うならば、まずは金魚にとって毒性の低いメチレンブルーやマラカイトグリーンの薬で対応し、それで全く効果がなければオキソリン酸、フラン剤・サルファ剤、トリクロルホンなどのきつめの薬に移行すると良いです。

治療方法

初期症状で白雲病か判断がつかない場合でも、メチレンブルーかマラカイトグリーン含有の薬を使用すれば白点病やツリガネムシ病にも有効です。

そのため判断に困った際は0.5%塩浴+色素剤での治療を行いましょう。

色素剤で金魚に負担をかけたくないならば低刺激であるメチレンブルーのものを使用すると良いでしょう。

メチレンブルー含有のものとしてはメチレンブルー水溶液か、消毒剤配合のグリーンFリキッドがあります。

塩浴のやり方は別の記事で詳しく解説しています。

金魚の塩浴トリートメントのやり方と期間を解説!

塩や薬を使用していると水が傷みやすいので2~3日に1回は全水替えをしてあげましょう。

毎日水替えするならば半分替えで、温度や濃度はきっちりと合わせて負担を少なくしてあげてください。

治療の順序は以下の通りです。

    1. 温度合わせ・カルキ抜きをする
    1. (1日かけて0.5%分の塩を投与)
    1. 1日かけて適量の薬を投与
    1. 水替えは2~3日に1回

1.まずは治療用の水槽で温度合わせ・カルキ抜きをした水を用意します。

エアレーションはあまり水流ができないように水面すれすれのところに設定します。

エアレーション 治療

2.塩浴もする場合は、0.5%分(10Lならば塩は50g)の塩を用意し1日かけて又は3回に分けて投与します。

0.5%塩浴

3.薬は1日かけて適量を投与します。

これも塩と同時に入れますので、3回に分けています。

グリーンFリキッド

  • メチレンブルー剤です
  • 低刺激で使いやすいです
  • 価格は800円くらいです


4.塩や薬の投与完了後、水替えは2~3日に1回でOKです。

塩水は淡水に比べて傷みやすいので、少し濁ったなと思ったらすぐに水替えをします。

コスティアとキロドネラ、いずれの場合も28℃以上では活動が鈍りますが、冬場で水温10℃以下になるケースを除き治療のためにヒーターを使用する必要はありません。

冬場でヒーターを使う時も28度以上に設定する必要はありません。

餌やり

発生原因でもお伝えした通り、白雲病は個体の免疫力低下によって起こりやすいので薬よりも体力回復が重要です。

そのため餌を食べられる状態であれば与えましょう。

すぐに食べきれる量を1日に1、2回ほど与えればOKです。

食べられなかった残りカスや糞はスポイトで取り除いてあげると良いです。

期間

白雲病による白い粒やモヤモヤが目で確認できなくなるまで続けます。

改善しているということは個体の免疫力も回復してきたということなので、その後は薬浴を終えて塩浴or淡水で2~3日様子を見ます。

それで問題なければ本水槽に戻し、逆にまた再発するようならば薬浴治療を続けます。

薬浴治療が長期間になる場合、メチレンブルー系の薬は個体にとってかなり低刺激ですが、念のため1週間薬浴を行ったら2日間は休息期間として塩浴のみにしてあげてください。

その後また1週間薬浴、2日休息という形です。

【画像付き】治療例

こちらが今回治療する金魚のピンポンパールです。

購入後にハダクリーンでのトリートメントを行いましたので、付着している寄生虫はコスティアの可能性が高いです(キロドネラはハダクリーンで駆除可能)。

白雲病 イクチオボド
白い固まりが付いている
コスティア イクチオボド
身体のみに付着
白い粒
身体が白い面があり見にくいですが青丸の個所が患部です
白雲病 画像
正面からはこんな感じ

トリートメントが終わり本水槽に入れたものの、こすりつけ行為があり2日後に画像のように白いモヤモヤが出ていました。

泳ぎ方や食欲には問題ありませんので餌をやりながらの治療を行います。

治療の条件

今回の治療では

    • 白雲病 初期~中期
    • 購入後の個体
    • ヒーターあり(約22℃)
    • 1日に3回エサやり
    • 塩浴なし
    • グリーンFリキッド
    • 時期は4月

の条件で行います。

状態はかなり元気なので塩浴の必要はないと判断しました。

治療の際はヒーターなしでもいいのですが、個体がピンポンパールですのでヒーターは使用しています。

1日目・薬浴のみ

治療条件に記した通り塩浴はなしでグリーンFリキッドのみの使用です。

白雲病 治療 画像

餌は咲きひかりをあげています。

また小さい個体ですので一口では食べきれませんが、食いつきはかなり良いです。

2日目・水替え

思ったよりも糞などで汚れていたので水替えをしました。

治療 メチレンブルー
水替え前

経験上、治療の2日目の水はかなり汚れる印象です。

餌をあげていることもありますが、薬による環境変化により金魚が代謝をあげるために粘膜を多めに分泌し、身体から剥がれ汚れの原因になります。

特に塩浴を行うとそれが顕著です。

そして2日目の様子ですが、白雲病の症状が少し治まっています。

2日目 白雲

治療2日目

グリーンF 2日目

1日でここまで改善しているので、やはりメチレンブルーが有効だとわかります。

元気の良さや餌の食いつきは相変わらずです。

調子が良いので予定よりも薬浴期間は短くなるかもしれません(当初1週間くらい必要かなと思っていました)。

引き続きグリーンFリキッドで治療を続けます。

3日目

本日観察したところ、白いモヤモヤや増えていました。

観察 3日目
上からの様子

左側面エラ付近についていた固まりは治まってていますが、新たに背中から尾にかけての両側面に発生しています。

3日目

さらに背びれにまで発生しています。

2日目の観察で調子が良いと思いましたが、まだ時間はかかりそうです。

引き続きグリーンFリキッドで続け、改善しないようであればアグテンも試してます。

元気は良いので餌はあげて様子を見ていきます。

4日目・エラに寄生

今朝起きたら★になっていました。

前日もあれだけ元気だったのにおかしいなと思い確認してみるとエラに寄生していたようです。

3日目にも観察していましたが、その時はなかったです。

白雲病 エラ 寄生
エラ内にできた粘膜?が青色に染まっている

エラ病 白雲病 拡大

おそらくエラ内に寄生してここに粘膜が出来てしまい、メチレンブルーによりこの粘膜が染まっている状態だと思います。

エラに発症すると呼吸に障害が出て衰弱してしまいます。

正直なところエラに寄生してしまっては取り返しがつきません。

また個体もまだ全長1cmちょっとのピンポンパールだったので慎重には扱っていたのですが、急展開になってしまい残念です。

今回白雲病を治しきれず無念ですが、また他の個体が発症した時には治療報告を行いたいと思います。

このページで紹介したグッズ

メチレンブルー
グリーンFリキッド(メチレンブルー)
アグテン(マラカイトグリーン)
フレッシュリーフ(マラカイトグリーン)
ヒコサンZ(マラカイトグリーン)
リフィッシュ
トロピカルゴールド
トロピカル-N



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