金魚を飼っていると底砂や壁に何度も身体を擦りつけるのを目にするでしょう。
まるでかゆい部分があり、壁などでそのかゆみを抑えているように見えます。
実はその通り、このような行為は金魚にとって何かしら痒い部分があり、それを解消するための行為です。
ただし私たちが皮膚のかゆみを感じるのとはわけが違い病気の可能性もあるので、その行為が続くようなら注意が必要です。
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かゆがる原因
金魚がかゆさを感じる原因は一つだけでなく複数あります。
寄生虫が原因の場合
かゆい原因としては寄生虫が付いているケースが多いです。
寄生している虫が身体の上を動くことでかゆみや違和感を感じたり、寄生虫を落とそうとして擦り付けの行為をします。
- 白点病
- イカリムシ
- ツリガネムシ
- ウオジラミ
- 白雲病(イクチオボド・キロドネラ)
- ギロダクチルス・ダクチロギルス
白点病~白雲病まではいずれも寄生していればそれぞれの症状が目で確認できます。
しかしギロダクチルスは非常に小さいため肉眼での確認が難しく、症状が出たころには尾ぐされ病やエラ病といった他の病気を併発していることがほとんどです。
白点病の詳細はこちら。
ツリガネムシの詳細はこちら 。
白雲病の詳細はこちら 。
ギロダクチルスの詳細はこちら。
対処方法
どの寄生虫・病気が原因なのか判明してから適切な薬を使用しましょう。
- 白点病:メチレンブルー、グリーンFリキッド、アグテン
- ツリガネムシ:アグテン、フレッシュリーフ
- イカリムシ・ウオジラミ・ギロダクチルス:リフィッシュ、トロピカル-N、トロピカルゴールド
- 白雲病:メチレンブルー、グリーンFリキッド、アグテン、フレッシュリーフ
菌が原因
稀に菌が原因で擦り付けの行為が出る場合があります。
- エラ病
エラ病はその名の通りエラに何かしらの疾患がある病気で、その原因は寄生虫か細菌のどちらかです。
生きている生体のエラの内部を確認することはほぼ不可能なので、エラに異常がある場合は寄生虫・細菌にかかわらずエラ病と呼びます。
エラ病が菌によるものでも、エラに異常を感じると擦りつけるようなしぐさがをします。
そしてエラ病でよくあるのが片方のエラが動いていなかったり、呼吸が早かったり、弱ったように底や水面でじっとしている状態です。
擦り付けが多かった後に、上記の症状が出ている際はエラ病を疑ってみてください。
対処方法
エラ病は発見が難しく原因の特定も困難ですので、まずは0.5%塩浴で様子を見てみましょう。
水が汚れていない環境や身体に寄生虫が確認できなければリフィッシュなどで塩浴しますが、原因がはっきりしない中での薬浴はあまり望ましくありません。
出来れば水替え・塩浴で対処したいところです。
その他の原因
菌や寄生虫に関係なく、水質の変化でかゆがる行為が出ることもあります。
中にはかゆがっているのか、急な変化に驚いて壁に向かって勢いよく泳いでいるのか謎のものもあります。
- 環境変化
- pHショック
- オキソリン酸の薬
環境変化は文字通り水槽の環境が変わったり、特に温度の変化と「淡水→塩浴や薬浴」「塩浴や薬浴→淡水」の時に一時的なストレスでかゆがりが起こります。
塩浴や薬浴は本来個体の病気を治すために行うものですが、金魚にとってみれば大きな環境の変化で負担になります。
塩や薬が身体に合わない場合、驚いたように体を擦りつけることがあるのです。
pHショックは、水中のpH(酸性・中世・アルカリ性を示すもの)が急に変わると起こるショック症状です。
例えば流木を水槽に入れている場合それが出す腐植酸によりpHが弱酸性に傾きやすくなり、この環境で飼育していた金魚を水替えで中性や弱アルカリ性の水へ入れるとpHショックでかゆがる行為が出ることがあります。
また流木や水草の影響だけでなく、既存の水槽水と水道水のpHの差でもショックが起こり得ます。
もしも水替え直後などにかゆがり行為が出た場合はpHショックである可能性が高いです。
pHショックの一例として、オキソリン酸の薬はそれ自体のpHが高いため薬浴開始直後にかゆがり行為がでることがあります。
観パラDやグリーンFゴールドリキッドがそれを含有しており、この薬の使用後はpHショックが起こる可能性があります。
対処方法
環境変化が起こってしまう場合、一気に「淡水→塩浴や薬浴」「塩浴や薬浴→淡水」にするのではなく、段階的な変化をつけるが基本です。
塩浴・薬浴の場合、適量を3回に分け時間をおいて投与することで、金魚を変化に慣れさせながら環境づくりができかゆがり行為も抑えられます。
pHショックの対処法としては事前に水槽水や水道水のpHを把握しておくことです。
pHを調整したい場合はアクアリウム用のpH調整剤を使用すると良いです。
オキソリン酸の薬を使用する場合も環境変化の時と同じく、段階的に薬を投与することが一番の対処法です。
適量を全て入れた後にかゆがっていても、一時的な行為である可能性も高いので無理にpHの調整をしないようにしましょう。
擦りつけ行為の二次感染
かゆがって壁に擦りつける行為はよく目にしますが、これによって傷が出来て二次感染を起こすこともあります。
私たちが自分の身体をかくのと同じように、かいた場所の皮膚は損傷します。
金魚も擦り付けによって粘膜がはがれ上皮細胞が傷つき、赤班病のようにウロコの一部が赤くにじんだような状態になったり、損傷がひどいと剥がれることもあります。
損傷した個所から細菌の侵入を許してしまい、細菌性皮膚炎や穴あき病といった病気になる可能性があります。
健康な個体ならば免疫力があるので直ちに病気になることはありませんが、かゆみがストレスになり免疫が落ちている状態では発症のリスクも高いです。
なので、かゆみだからと言って放置せずにまずは水替え・塩浴で対応してみましょう。
一部が黒くなっていたら
擦り付けをしていた金魚の皮膚が一部黒くなってたら、それは傷の痕で治ってきている証拠です。
ヒトで言う「かさぶた」のようなものです。
かゆみの擦り付けでウロコなどが損傷したものの、自然治癒で回復中のためそのまま放置でOKです。
ただ、損傷するほど激しい擦り付けをしたということなので、水質の改善を行いましょう。
かゆみと擦りつけ行為のまとめ
金魚がかゆがり、身体を壁や底砂に擦り付ける行為の原因としては寄生虫や菌によるもの、または水槽環境があげられます。
寄生虫や菌が原因の場合は直ちに薬浴をせずに、まずは水替えや塩浴で様子を見ましょう。
その後も擦りつけ行為が続き、特定の病気の症状がでたらその治療に適した薬を投与します。
擦りつけ行為は粘膜剥離や損傷が起こり、その傷口から二次感染を起こす可能性もあります。
かゆみによってストレスがかかり免疫が落ちた状態の個体は、常在菌が侵入しやすい状態ですので水替えや塩浴で対応します。
傷口が黒くなっていたら回復している証拠ですので、擦り行為が再発しないような環境づくりを目指しましょう。
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