ツリガネムシとは?

ツリガネムシとは水中に存在し繊毛を持つ単細胞生物(繊毛虫)で、小学校の教科書に出てきたゾウリムシなどの類です。

「ツリガネムシ」はあくまでもその形をした生物全てを指し、基本的には単体で行動している「ボルティセラ」をツリガネムシと呼びます。

ボルティセラの他には「エピスティリス」という群をなして行動する繊毛虫がおり、金魚に寄生するのはこのエピスティリスです。

単体で行動するか群で行動しているのかの違いだけで、形や特徴はほとんど同じなのでエピスティリスもツリガネムシと呼ばれているようです。

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水質浄化の働きをする

アメーバやゾウリムシと言えば自然界の淡水にとって悪いイメージはなく、それはツリガネムシも同じです。

ツリガネムシはもともと淡水中の水草などに多く存在しており細菌やプランクトンを餌として水質浄化の役目を負っています。

つまりツリガネムシ自体は金魚にとって害があるものではなく、淡水には必須の存在なのです。

ただ、水の浄化が目的で存在しており仮に水質が悪化すると改善するために繁殖します。

繁殖した一部が金魚の身体に密着し、そこでさらに繁殖して白い点となって表れるのがツリガネムシ病です。

直ちにダメージにはならない

ツリガネムシは水草などに付着して水中を漂う菌やプランクトンを食べる生物です。

それは金魚の身体に付着しても同じです。

寄生された金魚はかゆみを感じることもあり身体を底砂や壁への擦り付けることもありますが、身体に密着しながら水中の菌などを食しているのでその状態で魚に害を及ぼすものではありません。

ウオジラミのように金魚の身体から栄養を吸い取って生きるものではないのです。

したがって、ツリガネムシ病になっても基本的には金魚は元気な状態で泳いでいます。

二次感染がダメージになる

ただし、付着したツリガネムシが多く重症化すると二次感染を引き起こす可能性があります。

一部のツリガネムシは常に付着しているわけではなく、一定期間で個体から離れます。

離れた後には患部が傷のような形で残り、ここがエロモナス菌などの細菌に感染するのです。

二次感染を起こすとツリガネムシ病の治療と感染した病気の両方の治療が必要になり、金魚には大きな負担になります。

もちろん二次感染による体力低下で死んでしまうこともあります。

発生する原因

そもそも金魚などの生態を飼っている限りツリガネムシは必ず水槽内に存在しています。

単細胞生物なので細胞分裂になって数を増やしていきます。

ただ、一定の条件でこれが大幅に繁殖して病気の形になってしまうのです。

季節・温度

水温が12度以上になると活動を開始し、20度以上で活性化します。

30度以上になっても死滅しないほどの耐性があるので夏場でもどんどん数を増やしていきます。

増殖は非常に早く、24時間ほどで1匹から2~3匹に増えることもあります。

50度以上の高温ではさすがに死滅しますので、(お湯に耐性がある水槽ならば)水槽リセット時はお湯で殺菌すると良いでしょう。

逆に12度以下の低温になる水草や金魚の身体から離れてシストと呼ばれるカプセルな様なもので自身を覆い、一時的に休眠状態になります。

このシストは非常に体制が高く、水槽水の塩素やマラカイトグリーンなどの薬をもガードします。

再度12度以上になるとシストから抜け出し活動を開始します。

つまりツリガネムシ病は春~秋にかけては常に発生する可能性があり、夏場は特に発症しやすいと言えます。

12度以下では個体から離れてシストを作るため、冬場の冬眠前に一度水槽をリセットするのが効率よい駆除方法です。

水質悪化

水温や季節以上に発生の原因となるのが水質です。

ツリガネムシは水質浄化の役割を担うことから、汚れている水では浄化のために増殖します。

夏場は水温が上がり金魚も活発に動き回り餌をよく食べます。

水温による消化も良くなるためフンがしっかり出て、濾過がうまく出来ていない環境下では水質悪化につながります。

20度以上でにツリガネムシの増殖も活発になることから、夏場の水質管理には要注意です。

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最も適切な薬

有効な薬としては塩、メチレンブルー、マラカイトグリーン、グリーンゴールドFリキッド・顆粒等がありますが、その中でも多くの研究で用いられているのがマラカイトグリーン(アグテン、フレッシュリーフなど)です。

例えば1972年には錦鯉の品評会を主宰する新潟県錦鯉協議会がツリガネムシの駆除に塩、ニフルプラジン(フラン剤系)、マラカイトグリーンの効果を認めています。

また1973年に出された魚病研究レポート「キンギョ及びニシキゴイに着生するツリガ ネ ムシ Epistylis longicorporaの駆除について」の中でもそれらの有効性を認めています。

参考文献 → 1973年9月 魚病研究(ツリガネムシの駆除について)

その他、水中のツリガネムシ駆除に関するレポート・論文での検証の際にはマラカイトグリーンが使用されており、有効性が確認されています。

長期治療を考えるうえでも適切

金魚に付着したツリガネムシの駆除には時間がかかります。

早くても2週間、長いと1か月以上の期間を必要とします。

その際、薬浴をすると金魚にとって負担になります。

オキソリン酸やフラン剤系のグリーンゴールドFリキッド・顆粒でも治療は可能なのですが、作用が非常に強く金魚も体力を奪われるため長期間の薬浴には向きません。

しかも寄生虫にはオキソリン酸やフラン剤系よりも色素剤の方が効果があります。

魚にとって毒性が低く長期治療に向き、尚且つツリガネムシに有効なのがマラカイトグリーンです。

マラカイトグリーン中心の市販薬ではアグテンフレッシュリーフがありますので、治療の際はこれを使用すると良いでしょう。

実際の治療例はこちら。

ツリガネムシ病の薬による治療方法を写真付きの実例で紹介

シストには効かない

先ほども述べた通り、シストの状態では薬が全く通用しません。

ツリガネムシは12度以下で個体から離れてシストを形成するので、薬浴を行うのは13度以上が適切です。

個体に着生している以外のものについては、水槽の全水替えやフィルターのお湯消毒を行うと効果的に除去できます。

ツリガネムシの特徴や発生原因まとめ

ツリガネムシはもともと水質浄化の目的で存在している単細胞の水生生物です。

基本的にツリガネムシ病が金魚に大きなダメージとなることはありませんが、二次感染により他の病気を発症することがあります。

12度以上で活動を始め20度以上になると活性化しますが、一番の発生原因は水質悪化であることがほとんどです。

30度以上の水温でも死滅しないので、薬やお湯による除去が有効です。

治療薬に関しては、ツリガネムシ関連の多くの論文でマラカイトグリーンの有効性が認められています。

治療期間が長期になりやすいことからも、魚にとって毒性の低いマラカイトグリーンで薬浴するのが適切です。