金魚 餌 食後 浮く 

金魚に餌をあげると水面に浮く問題は多くの方が直面します。

食後に限って浮き始めますが、それ以外は特に異変なく元気に泳いでいる様子だと思います。

浮いてしまう病気としては転覆病があり、食後に浮くのもそれの類だと考えられることもあります。

ただし本格的な転覆病のように水面で逆さまにひっくり返ってしまったり、斜めの状態で浮く様子とは少し違います。

ここでは餌をあげた後の数時間だけ浮いてしまう病気にフォーカスして、その原因と治療方法を考えてみたいと思います。

そもそも病気なのか判断は微妙なところですが。

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餌の後に浮く原因

餌を食べた後だけ浮いてしまう原因は明確にはわかっていませんので仮説が中心になりますが、考えられる原因はいくつかあります。

ここでは「逆さまや斜めにならず、頭・背中辺りを中心にして通常の状態で浮いてしまう」状態を想定して原因を探っていきます。

なお、転覆病に関する内容はこちらに詳しくまとめています。 → 転覆病の主な2つの原因と薬を使った治し方について

浮き袋が原因

食後に浮いてしまう原因の可能性として高いのは浮き袋の問題です。

  1. 癖による浮き袋の調整不具合
  2. 水中の酸素不足による癖
  3. 食べ過ぎによる浮き袋の調整不具合

1.癖による浮き袋の調整不具合

生体によっては餌を食べた直後(5~10分)に水面に浮き始めるものがいます。

この場合、仮説ですが浮上性の餌が水面にあることで「水面で餌がゲットできる」と思い込み、浮いていられるように浮き袋を調整します。

しかし長時間浮いていられるよう調整したものの、それが癖になってしまいます。

通常は浮き袋を再調整することにより自由に潜れるのですが、個体によっては調整がうまくできなくなり水面に浮いたままになってしまいます。

つまり餌のために浮いているのが癖になることが原因で、浮き袋の再調整ができなくなり浮いてしまうのでしょう。

特に食後すぐに浮く症状が出るケースでは、まだ消化器官による影響ではないと考えられるため「癖による調整不具合」の可能性があります。

2.水中の酸素不足による癖

1の「癖による浮き袋の調整不具合」に関連です。

金魚は内臓で餌を消化させるために大量の酸素を必要とします。

餌を食べていないときは水中の酸素だけで足りるのですが、餌を消化するときには水中だけでは酸素不足だと判断し、水面にて口をパクパクさせて酸素を得ます。

この行動が長いと、先ほどお話したように長時間水面にいられるよう浮き袋を調整する癖となり、食後に浮く原因にもなるのでしょう。

3.食べ過ぎによる浮き袋の調整不具合

琉金型金魚の場合、体内には内臓が隙間なく存在しており浮き袋もそのすぐ近くにあります(中心よりもやや上に2つある)。

金魚には咽頭歯(いんとうし)と呼ばれる食べ物を細かく砕く歯があり、これにより口に入れたものはすり潰され消化・吸収しやすくなります。

しかし、一度に大量の餌が食道・腸に入ると物理的に腸が膨らみ、このため他の内臓が圧迫され浮き袋にも影響が出るという形です。

大量の食事により影響を受けた浮き袋が金魚自身の意思で拡大するのか、圧迫された縮小するのかは不明ですが、浮いてしまう原因の一つとして可能性があります。

消化不良が原因

浮いてしまう病気の原因が浮き袋以外で考えられるのは消化不良です。

ただ、消化が影響していると考えるならば、口に入ってから消化までにはある程度時間がかかります。

したがって食後すぐに浮いてしまうならば浮き袋が原因である可能性が高く、食後数十分後に浮き始めるならば消化不良が原因の可能性があります。

  1. 消化不良によるガスの影響
  2. 水温低下による消化不良
  3. エア食い

1.消化不良による影響

金魚は餌を口、食道、腸へと送り、腸で分解・栄養の吸収をします。

その過程で酵素により分解されたタンパク質からガスが発生し、我々が見る「空気(気体)」ができます。

参考(※金魚の生体解剖写真があります) → 金魚の腸内でエサがどうなっているか?┃株式会社キョーリン 山崎研究所

これらのガスは通常腸壁で吸収されるのですが、消化不良の場合は気体のまま腸に存在し続けます。

そしてその気体(ガス)があまりにも多いと浮く原因となると考えられます。

2.水温低下による消化不良

もうひとつの原因と言うよりは「消化不良による影響」の延長線上の話で、そもそも消化不良の原因は水温の低さにあるかもしれません。

金魚の消化には酸素と温度の力が必要になります。

水中の酸素量が少なかったり、水温が低いとうまく内臓がうまく機能しなくなり消化不良に陥ります。

温度が低い水槽内では内臓機能が低下し、酵素により発生したガスを腸壁で吸収できないことが原因で気体を腸内に抱え、浮いてしまうと考えられます。

3.エア食い

水面でパクパクと酸素を吸収する行為をエア食いと言い、エア食いで誤って空気が体内に入ることが原因で浮くと考えることもあるようです。

ただエア食いは金魚が直接口から酸素を取り込んでいるのではなく、溶存酸素量が多い水面の水を取り入れているのです。

体内に取り込んでいるのはあくまでも水に溶け込んだ酸素ですので、誤って空気が直接体内に入ることは考えにくいです。

浮く病気の治療方法

食後に浮いてしまうのが病気と決まっているわけではありませんが、浮いて潜れない様子はやはりかわいそうなので治してあげたいです。

なので、それぞれの原因別に治療方法を挙げてみたいと思います。

癖で浮いてしまう場合の治療

この場合はそもそも金魚が「餌は水面にある」と学習してしまうことを対策せねばなりません(金魚は餌に関しての学習能力は高いです)。

浮上性ではなく沈下性の餌にする必要があります。

切り替え直後は餌が沈下していることに気づかず水面でパクパクしているかもしれませんが、2~3日もすれば水中または底に餌があることに気づくでしょう。

注意したいのは沈下性の餌でも一部沈まずに水面に浮いてしまうこともあります。

その際は餌を予め水で濡らして置けばすぐに沈みます。

重要なのは「餌は水面にはない」と学ばせて浮き癖をやめさせることです。

現在浮上性の餌を使用している方は一度沈下性に切り替えてみてください。

酸素不足による癖の治療

これは食べた餌を消化するために必要な酸素が水中に少なく、水面でそれを取り入れている間に浮いていることが癖になることが原因でした。

これを解決するためには

  • 大量な酸素が必要になるほど多くの餌を一度に与えない
  • 溶存酸素量を多く確保する

ことが必要です。

金魚は餌を食べてからフンを出すまで3~4時間ほどかかりますので、一度適切な量をあげたら3~4時間は控えましょう(水温が低いともう少しかかる)。

1分ほどで食べきれるくらいが適切な量です。

食べ過ぎによる浮き袋の調整不具合

食べ過ぎで浮き袋が調整できなくなるケースも、餌の量や頻度を考え直しましょう。

餌やりの間隔、量については先ほどと同じです。

エア食いの癖での治療

エア食いの理由が酸素不足ならば、この場合の治療法も溶存酸素量を多くすることです。

ただ、酸素量が足りていてもエア食いする個体もいますので酸素濃度を上げたからと言ってそれが治るとも言い切れません。

消化不良で浮いてしまう際の治療

消化不良により腸で発生したガスが腸壁に吸収されず、その気体が浮上の原因になってしまうならば消化不良を改善するのが一番の治療法です。

市販で売られている有名どころの人工餌ならば消化しやすいタイプがほとんどですので、餌自体を気にする必要はありません。

消化不良を引き起こすのは餌や金魚自体の消化能力より、私達飼い手の餌のあげ方であることがほとんどです。

飼い手が金魚に消化不良を起こさせないためにも、(繰り返しになりますが)治療方法として

  • 餌は1分以内に食べきれる量
  • 水温を20~25度にして消化の良い環境にする
  • 餌は1日に1回

を心がけてください。

食後に浮く原因と治療まとめ

金魚が餌やり直後に浮く病気は、浮き袋の調節不具合や消化不良が原因となり得ます。

いずれの場合にしろ

  • 沈下性の餌にする
  • 餌の量や頻度を減らす
  • 水温を20~25度にする
  • 溶存酸素量を確保する

ことで治療が可能です。

餌やりをすると浮いてしまならば、逆に考えれば餌をあげなければ問題なく水中で泳いでいるのだと思います。

上記の治療法で改善しない場合は、思い切って餌を挙げる頻度を1週間に1回程度にしてみましょう。

餌を必要最小限にすれば、かわいくパクパク食べる姿は見られませんが水替えや病気のリスクがかなり低くなります。

また、冒頭でも言及しましたが、浮いてしまう病気としては転覆病があるので、症状がひどい場合や水換えや適切なエアレーションをしても症状が治まらない場合などは転覆病を疑う必要があります。

転覆病に関する内容は別の記事で詳しくまとめたので、読んで頂くといいと思います。

転覆病の主な2つの原因と薬を使った治し方について

飼っている金魚に合わせた治療法で、浮いてしまう病気を改善させましょう。

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